Bluebell Picnic


 Royal Weddingから続く4連休のなか日、
May dayでもある1日は、抜けるような青空と
さらっと乾燥した空気で、さわやかな初夏の陽気だ。
3月20日のまだ肌寒いころ、
Ewanから家族と友達約30名にあてて招待メールが届いた時から、
ずっと楽しみにしていたBluebell picnic。
ロンドンから南へ約1時間、Brightonの手前、
Gatwick airportの先に位置するBurges hillと言う駅に
降り立った。

10:42にLondon Bridgeを出発した列車は満席で、
海辺の街ブライトンへ出掛ける大勢の人たちで
混み合っている。
同じ車両にインド系の、子供を入れた16人の大家族連れが
車両の3分の一を占領した形でかなり盛り上がっていた。
インド系の人たちはなぜかいつも大勢で
大移動しているのをよく見かける。
それだけ家族の絆が強いのだろう。

駅の改札ではEwanとEwanのお父さんのIanが笑顔で
出迎えてくれた。
Ianの運転する車で10分足らずで、彼らのWoods(森)へ到着。
この森はEwanのお父さんのものだったが、近年Ewanが受け継いだという。

Bluebellという花は、古い森
にしか生息しないという。
昔から存在するOakの森に
この時期だけ、2週間足らずの間
木々の足元が一面青紫になる。

このところの好天続きで、
Bluebellの花はちょっと盛りを
過ぎた感じだった。
でもまだまだ十分美しいブルーの絨毯が
森の中には広がっていた。

ピクニックサイトを探して
森の奥へと入って行くEwan。
「Bluebellの花の上に座るのは
かわいそうだから、余り花がない
この辺りがいいかもしれない。」
ちょうどいい場所を見つけて、
座って痛くないように木の枝などを
拾ってざっと整地する。


草の陰にかくれんぼしていた
野うさぎ。
何匹もぴょんぴょんと
飛びはねて逃げて行った。

Ewanに森の手入れはどのようにしているのか、
と尋ねたら、ほとんど手入れはしていない、という。
「自然の状態が一番だから、自然に古い木が
枯れて倒れたら、そのままにしておく。
そうすると虫たちのいい住みかになる。
そのうち新しい芽がでて、若い木が育って行く。
そうして、森の世代交代が自然の力で行われて
いくんだ。」

森の木はほとんどOakの木で、さくら(山桜)も何本かあった。
Oakの森を持っているから、暖炉の薪はすべてここでまかなえる。
実際そうしているという。
森の中を12くらいに分けて、12年かけて少しずつ木を売る。
そうすると、ちょうどいい具合に森が入れ換わって行くのだそうだ。
「誰かに木を切ってもらうの?」
と尋ねると、
「もちろん自分で切るんだよ。2人用ののこぎりを使うんだ。」
忙しいEwanが森の管理まで自分でしているなんてびっくり。
日本では山の管理はとても大変だと聞いていたので
こっちの森はあまり手がかからないようで、うらやましいと思う。
日本の森も広葉樹だったら、もっと明るくて気持ちのいい森だったろうに、
杉山にしてしまったお陰で、暗くて、下草も生えない、動物の
住めない森になってしまったのだ。おまけに杉は手もかかる。
だからますます放置されてしまったのだろう。
杉山でピクニックだなんて、とても考えられない!

「Rabbit hallsがあるから
気をつけて!」

よく見ると、
地面のあちらこちらに
穴があいている。
木の根元にもウロのような
穴が開いていた。


ピクニックサイトまでの道案内用に
Arrow(矢印)を用意していた。
歩きやすいように枝をのけて、
道筋を作り、ところどころに
このarrowを置いていった。

EwanのおとうさんのIanはなんと
今年81歳!
まだまだカクシャクとしていて、
斧を振るう手つきも足腰もしっかりしていた。
この年代の人は頑丈な人が多いような
気がする。
ちなみにEwanはおとうさんのことを
"Pa"と呼ぶ。

集合時間の1時を過ぎて
そろそろ参加者が到着し始めた。
トランポリンに被せていたという
巨大ブルーシートを用意していた。

Ewanはサラダとワイン、
パイとポテト、ミネラルウォーター
などを用意していた。

Ewanには下に3人の弟がいる。
その弟たちの子供たち。
横にハンモックを吊るして
一緒に遊ぶ。

シートの真ん中にそれぞれシェアする料理を
おいて、みんなでつまんで食べた。
ほとんどがHomemadeのパイや
サラダやケーキでどれもとっても美味。
イギリス料理は家庭料理が一番おいしい
ということが分かった。
私は巻き寿司を作って行った。
さすがに子供たちも寿司は知っていた。

この日の参加者は総勢27人。
2歳の赤ちゃんから81歳まで
まるでひとつの大家族のように
和気あいあいとした和やかな時間
が流れていた。

家族や友達など大勢の人たちみんなと
おしゃべりするのに忙しいEwan。



お互い知っている人もいれば
初めて会うという人もたくさん。
でもみんなリラックスした中で
楽しく談笑していた。
私はDitchlingのカリグラファー
Sueと、10月にベニスで会った
Ashokの2人だけ、あとはみんな初対面だ。
でもEwanが会う人会う人紹介してくれたので
いろいろとおしゃべりを楽しむことができた。
類友とはよく言ったもので、Ewanの家族や友達もみな、明るくて気持ちのいい
人たちばかりだった。

あちらこちらに
木漏れ日が射していて、
まるで妖精が出てきそう。



Bluebellの花はイギリス人にとっても
特別な意味を持つようだ。
日本人のさくらのような感じだろうか。
春のこの限られた期間に、
古い森の中にだけ現れるお花畑。
日本の森では見られないと思う。


3時半過ぎに解散。
希望者はそこから3マイルほどのところにある、
Ewanの弟のAlistairの家へお茶をしに行くことに。
EwanとIan、子供たちとお父さんの10人程が
歩いていくことにした。
他の人たちは車で移動。
Foot path(日本の遊歩道?)は車道をさけて
気持ちのよい田舎道が続く。

森を抜け、小川を超え、牧場を横切り、
民家の横や裏も通りぬける。

途中Wild Roseが咲いていた!
今年一番に見たバラだ。
とっても強くていい香りだった。










これからいよいよバラの季節!

ふさふさと気持ちのよい牧草が茂り、
地面はやわらかくて、歩きにくいけれど
足は疲れなかった。

途中、家畜が通れないように柵がしてある。

柵の上を人間が乗り越えていく。

この種類の牛の瞳はとってもつぶらで
かわいい!
近づいても逃げないで、じっとこちらを
見つめていた。

つぎつぎと現れる次の世界への入口。
なんだかワクワクしてしまう。

途中の道端で鶏とDuckの
卵が売られていた。
なんと6個で£1。
卵は汚れていたが、
おそらく放し飼いの
オーガニックだろう。
マツバラだとどちらも
£2以上はする。
私は迷わず購入した。

その家の庭には
おそらくこの卵の
産みの親であろう
アヒルたちが散歩していた。
その隣になんとラマがいた!

Ashokが「ほら、見てごらん!」
通りがかりの庭の木の根元に
犬が上半身を穴に突っ込んでいる。
よく見ると、置物だった。
ウサギを追いかけて穴に入った犬を
ジョークで飾っているのだという。


この途中にもワラビが茂っていた。
この春2回目のワラビ採りにすっかり夢中になってしまう。
片手に持ち切れないくらいのワラビを採っていると
みんな「Brackenは毒があるよ!」と口ぐちに言う。
「日本ではこれを採って食べるのよ。」
というとびっくりしていた。
イギリス人は採らないので、どこにいっても採り放題なのだ。
『春のイギリス、Bluebellとワラビ採りの旅』なんて企画できそうだ。
歩いていると
Tree Houseに出くわした。
子供たちは我先にと木に登り始めた。
近所の子供が書いたであろう注意書きが貼り付けてあった。「ポタリ―・ツリーハウスルール。安全のため一度に2人以上登らないこと。
故意にこの家を壊した人は罰金として£10を科します。」

一緒にいたEwanの友達の
Michael曰く、
「これを見て、登らずに
通り過ぎるなんてこと
子供たちにできるわけないよなぁ。」
私も・・・できない。



小さいながら、しっかりとした作りだった。
しばらくの間大人は下で見守りながら
休憩。

その先へ進むと突然土地が開けて
ひろびろとした牧場が広がっていた。
なぜかNorth American Farm
と名づけられていた。


まだ産まれて1年未満の
若い牛たちは
とっても好奇心旺盛。
どんどん私たちの方へと
近寄ってきた。


その先に広がる丘から遠くを指差して
「あれがDitchling beacon(高台)だよ。」
とEwan。

見ると上が平らになった高台が
遠くに横たわっていた。
「あれが古い水車小屋だよ。」と遠くの建物を
指差して説明するEwan。
生まれ育った土地が何十年も変わらぬ姿で
残っているというのは、なんてすてきなこと
なんだろうと思う。
私が子供時代を過ごした森や池や広場は
今では影も形もなくなってしまい、住宅街に
変身してしまった。

最後のお花畑は黄色と紫の絨毯だった。

目的地にやっと到着。
2時間足らずのお散歩は起伏に富んでいて
とっても愉快だった!

Ewanの下から2番目の弟が住んでいる家。
1920年に建てられたというけれど、
とっても素敵なカントリー・ハウスだ。


大きな木から吊るしてあった
タイヤは子供たちに大人気。

ここでもピクニックの続き?

陶器製のストーブが置いてあった。

庭の大きなりんごの木に登って遊ぶ
おてんばなPeriは9歳。
「でも8月で10歳よ。」
と何度も言っていた。

家の中をEwanが案内してくれた。
この家は以前はEwanのお母さんの妹
(Ewanのおばさん)の家だった。
その彼女が引っ越したので、弟家族が
借りているという。
そして、キッチンの戸棚に半分隠れている
壁画はなんと・・・・

David Jonesが描いたという。
彼もここに住んでいたとのこと。
温かみのある、ほのぼのとした絵だった。

注:David JonesはEric Gillと親交があった
画家で詩人でもあり、特徴的な文字も書いている。
ここここのサイトに紹介されている。


ピクニックに参加したほとんどの人たちは
この庭でお茶の時間を楽しんだ後、
帰途に着いた。
帰りはIanが1人で運転して
駅まで送ってくださった。

Ianが言った。「僕がここに来たのは10歳の時だったよ。
そうか、もう71年も前になるんだ!」
子供の時に世界大戦の被害をさけて、田舎に引っ越してきたそうだ。
Bluebellの森の中には小屋の跡があった。
Ewanが子供の頃には小屋があったそうだ。
そこにEwanもそのうちHut(小屋)を建てて、時々来ては
くつろぎたいと言っていた。

帰りの列車はブライトンからの観光客で満席だった。
1時間ちょっとずっと立っていたけれど、不思議と
疲れは感じなかった。
気持ちいい森と人々から、たくさんの良い気をもらったから
かもしれない。












コメント
お父さんのことを「pa」と呼ぶ
…というのを読んでいて
「大草原の小さな家」を思い出しました

日本のテレビでは
「父さん」という訳でしたが
日本語訳本では
「父ちゃん」だったので

その微妙なニュアンスの違いに
本当はどっちが感覚的に近いのだろう
と思っていました

小さい頃、大好きだったので
いろいろと想像していたのが
懐かしいです
  • yukiko
  • 2011/05/04 2:19 PM
ああ、そうですね。
「Pa」とは日本語でいうと
「父さん」とか「父ちゃん」というニュアンスなのかもしれませんね。
Ewanのお父さんは今でも威厳があって、
おちゃめで頼りがいのある
素敵なお父さんでした。
Ewanの家族はみんな愛情に溢れている感じ
でしたよ。ちょっとうらやましかったです。
  • sakura torako
  • 2011/05/06 6:56 AM
大草原の小さな家って云えば、楽器を始めるキッカケになった映画でした。ほとんど毎回観てましたね〜w。あのお父さんが、理想だったけど現実とは程遠いですね。後から、カントリーミュージックてのが分かったのですが。
そう云えば、週末の忘年会にブルーグラスの知り合いが来ますね。あのスウィングするような演奏が聴けると思うと心踊ります。。
  • だいざえもん
  • 2012/11/24 1:28 PM
だいざえもんさんは楽器をされるのですか?ギターですか?私もアメリカで、先生がギターを弾いて(カントリーでした)家族と一緒に唄っている様子を見て、なんて理想的な家族なんだろう、とうっとり眺めた記憶があります。
  • さくらとらこ
  • 2012/12/23 5:37 PM
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