Conservation−本の保存技術について

 月に1回Designer Bookbindersのレクチャーが
Art Workers Guildで開かれている。
Letter Exchange Lectureと同じ場所だ。

2月のタイトルは"Conservation and preservation in the
Paker Library at Cambridge University: Past,
Present and Future.
ケンブリッジにあるCorpus Christiカレッジにベースがある、
ケンブリッジ・カレッジの古書の保存協会のヘッドである、
Melvin Jeffersonのレクチャーだった。
彼は最初bookbindingを、後にbook and paper conservationを
ケンブリッジで学んでいる。

このケンブリッジにあるCorpus ChristiのParker Library
3人の専門家が常に本の保存や分類などの作業に従事していて、
館内の温度、湿度を常時一定に保ち、古い写本が傷まないよう
最新の設備を兼ね備えたすごい図書館のようだ。

彼は昔の図書館と現在の図書館の写真を紹介していた。
昔は棚にずらっと普通に並べられていた写本が
現在はガラスの扉が付いた本棚の中に、
同じサイズの引き出しが何十も並んでいた。
写本は立てておくよりも、フラットに保存した方がよいとのこと。
1冊1冊1つの引き出しの中に入れ、動かないように
その写本と同じ大きさに合せた布張りの箱を引き出しの中に
作り、大切に保管されている。

彼らはすべての写本の頁をデジタル撮影し、
それをネット上で無料で公開している。
(こちらParker Library で見られます。)
その撮影の際の苦労話のいくつかを以下に紹介します。

写本の中にはあまり開かなくなったものもあり、
ノドの近くの部分の撮影ができない。
そこで、一旦本を解体し、綴じなおして(Rebind)
90度以上開くようにしたという。
また、湿度でカビが生えベラムに書かれた
文字のインクが浮き上がって、
剥がれ落ちているものもあった。
かなり小さい文字である。
彼は顕微鏡を覗きながらピンセットを使って
文字の下に糊をつけ、1字1字貼り付けていったという。
何十(何百?)ページあったのだろうか・・・・気が遠くなりそうな作業だ。
"It was a time consuming work!"
(ものすごく時間のかかる仕事だった!)
また、ある写本のイルミネーションの部分が
ひび割れて絵具が落ちているところも見つかった。
本当に温度と湿度の管理にはとても神経を使っているという。

撮影は特別な本を置く台を作り、ページを痛めないよう
ページの端を押さえる小さなクリップで8か所止め、
素手で1ページずつめくって、固定カメラで撮影していく。
よく、本を扱う時は手袋をした方がいいと思われているが、
それよりもきれいな素手で扱った方がいいそうだ。
手袋をしていると滑ったりしてかえって手間取ってしまう。
その方がページを痛めてしまうらしい。
それはクラフト・スタディセンターの学芸員が話していた。

この写真撮影の時も、確かに素手でページをめくっていた。
そして、撮影するスタジオの中の温度と湿度も
もちろん図書館と全く同じに保っている。

このParker Libraryは木曜日の午後に一般にも公開されているという。
午後2時から入場できるそうで
ケンブリッジのツーリストオフィスで予約できるとのこと。
有料で1人£12、パンフレットとガイド付き。

彼の話の中に何度も出てきたJapanese Paper。
修復作業で使われていた紙はほとんどが和紙だった。
KOZOという名前も度々出てきた。
本の修復、いやBookbindingの世界で今や和紙は
欠かせない存在になっているようだ。

Bookbindingの先生、Geneも常々こう言っている。
「Japanese paperは世界で一番クオリティーが高いからね。」
そんな素晴らしい紙が身近にあるなんて、なんてラッキーなんだろう。





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