ロンドンの古書店

 先月、ロンドンにいらしていた
高宮先生から、一番お勧めの古書店を
教えていただいた。
先生もよく行かれるらしい。

そのお店はロンドンでも中心部の
高級ブティックとガードマン付き豪邸が
立ち並ぶ一角にあった。
Maggs Bros Rare Books
1853年創設という歴史ある古書店だ。

入口はクリスマスの飾りつけが
施されていた。

先生の助言通り、事前に電話を入れて訪問。
写本やミニアチュールが担当のJonathan Reillyさんが笑顔で迎えてくれた。

余り広くないその部屋の書棚には、
とても魅力的な古書がぎっしり。
掌に乗せられるくらいのヴェラムの表紙の16世紀の古書もあった。

高さ12cmくらいの小さくて
上品なヴェラムの表紙の本。

本の背をmull(寒冷紗)の代わりに
なんと古い写本のヴェラムのページを
使って装丁していた!

MS(写本)はすべてリーフしかなく、
1冊丸ごと、というのは今はないとのこと。
そういうのは出ても、すぐに購入されてなくなるそうだ。
そういうのはあまりないので、
待ち構えている人がいるということか。

大きめの透明ファイルには
15世紀〜18世紀くらいのリーフが
たくさんはさんであった。
本の表紙に使われていたものもある。
19世紀に、写本のページをバラして、
新しい本の装丁の材料に使うことがよくあったらしい。
文字が美しいものや写本としての価値があると思われたものは
そういう表紙をはがして写本のリーフとして
売られていた。折り目がついたまま。
一番古いもので15世紀の初期のゴシック体のものがあった。
まだローマンの名残のある、丸みが残った書体。
文字はきれいで、裏表両面書かれていて、
広げたらかなりの大きさ(A3程度)があった。
残念ながら表紙の折り目がついていたが、
£200はお得かもしれない、と思った。

大きなデスクの下に引き出しが何段かあって、
開けると美しいMSのリーフが
きちんとマットに入れられて
何十枚も無造作に重なって入っていた。

まさしく宝の山だった。
1枚1枚丁寧に取りだして見て行った。
ほとんどがミニアチュール(細密画)か
Illuminated Initials(装飾イニシャル)だ。
文字ばかりというのも少しあった。
ミニアチュールの美しいものは£3000というものも。
けれども、£300くらいからあるので
全く手が届かないわけではない。

3段目の引き出しには
インキュナビュラ(揺籃期の活版印刷)のページも
何枚かあった。
INCUNABURA(インキュナビュラ)とは
グーテンベルグの活版印刷機の普及(1445年ごろ)から
1500年までのわずか50年余りの間に印刷された
初期の活版印刷物のことを指す。
それだけに数も少ない。
ドイツのAnton Kobergerの
Bible(1487年)が数枚あった。
すべて木版の挿絵と手彩色の
とてもきれいなページだった。
さすがにインキュナブラ、活字もとても美しい。

WIKIでAnton Kobergerを検索したら
これと同じ(たぶん)聖書の画像が紹介
されていた。

他に1470年制作のU.Gullusというイタリアのプリンターによる
インキュナブラも丸ごと1冊見せてもらった。

装飾が豪華

装飾はもちろん手彩色
ギルディングも施されている。

装飾のスタイルは”White vine”

活字もきれいなローマン体。

Jonathanは私のいろいろな質問に仕事の手を休め、
とても丁寧に答えてくれて、本当に親切だった。

最初、ちょっと敷居が高く感じたけれど、
もしロンドンに来ることがあったら是非立ち寄ってみられることを
お勧めします。
美術館級の写本を間近にそれも手にとって見ることができる
貴重な場所です。
Jonathanも大歓迎だそうです。

訪ねる時は事前に電話をされることをお勧めします。
Maggs Bros. +44 (0)20-7493-7160







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