アイルランドのカリグラファー

 実は今回のアイルランド訪問には
もう一つの大きな目的が。
それは知られざる天才カリグラファーに
会うことだった。

実はアイルランド出身のカリグラファーは
Denis Brownだけではなかった。
Denisの2歳年下で、やはり20歳にして
SSIのフェローになった才能あるカリグラファー。
Gareth Colgan
失礼ながら名前はもちろん存在すら知らなかった。

10月にlettercarverのJohn Neilsonを訪ねた際、
Garethの作品を見せてもらった。
以前一緒にTom PerkinsのWSで働いていたのだという。
とても腕がよく、才能があるのだが、その性格ゆえか
あまり作品を発表したり、人前にでようとしないらしい。
TomのWSを2年で辞めた後は自宅に戻り両親と一緒に
住んでいる。

どんな人だろうか。
とても気になった。
そして、それを確かめる機会は案外すぐに来た。

今回アイルランドに行くついでに
Garethに会えないだろうか、とJohnに相談したら、
すぐにコンタクトを取って、連絡先も教えてくれた。

Garethはとてもまめに連絡をくれた。
作品を見るのなら、自宅に来てもらった方が都合がいいだろう、と
彼の家までの地図やバスの時間やら、こまごまと
気を遣って情報を送ってくれた。
そして、彼の家でランチまでごちそうしてくれるという。

アイルランドに到着した日は
波もほとんどなく、とても穏やかないいお天気だった。
その日はもう遅かったのでDublinのB&Bに宿泊。
次の日は朝晴れていたのに、昼前から小雨が降り出し、
昼過ぎには強風が吹き、雨も時折強く降ってきた。
彼の家には(GarethはDublinの少し郊外に住んでいる)
台風のような、時々立ち止まらなければならないほどの
強風と雨でびしょぬれになって辿り着いた。

玄関に長身で細身の男性が迎えに出てきた。
Garethだった。
彼はぬれ鼠状態の私を見て
「あー、ごめん。いつも手ぶらで駅まで行くから、
君がそんなに荷物を持っているなんて、想像もつかなかったよ。
知っていたら車で迎えにいったのに!」

やさしそうなお母さんとお父さん、犬2匹に迎えられ、
暖かい家に入った。
ほっとした。

ランチはごく一般的な
パンとバター、チーズ、彼の好物というサラミ、
サラダ、コールスロー(Sainsbery's製)
そしてお母さんのホームメード野菜スープ。
これがすごくおいしかった。

ランチが終わり、いよいよ彼の作品を見せてもらう。
仕事という仕事を実際していない彼は
作品を自分のためにだけ書いているという。
たまにlettercarvingの依頼が来るようで、
いくつかアイルランドでやったという仕事も見せてくれた。
2年かけて彫ったというlettercarvingの文字は
本当に繊細でため息が出るほど美しかった。



これは販売するのか、と聞いたら、
「売るつもりで彫っていないから。」
との答え。

どうしてlettercarvingの仕事を
もっとしないの?
と聞くと、
「石は扱いが面倒で場所もいるし、
1人では大変だから。」
との返事。


彼の作品はほとんどがビルドアップの方法で書かれている。



とっても個性的な文字だが、
読めないようで結構読める。
パターンのようにも見える。
でも、テクストにすごくこだわっていて、
意味のないアルファベットだけの作品は
作れない、と言う。
自分の好きな言葉、選び抜いた言葉を使って、
その意味をじっくり考えて文字のレイアウトや
全体のデザインを決める。
だから、とても時間をかけてひとつの作品を
作るようだ。
色はほとんどBlack & Whiteで、たまに赤も入る。


アイリッシュらしく、Samuel BeckettやKeatsのテクストを
よく使っていた。
読んで聞かせてくれたけど、私にはちょっと難しかった・・・・。

すべて微妙に違う形のアルファベットで
書かれていた。
でも彼の個性がとてもよく出ていて
このようなタイプの文字を見たのは
初めてだった。

ハンドライティングの文字も
とても特徴的でパターン化されていて
美しかった。


少し人見知りするタイプかもしれないが、
(アイリッシュらしくない!?)
これらの作品が世に出ないままなんて
もったいないと思った。
もっと多くのカリグラファーに
見てもらいたい、と強く思った。

その日の夕方、バスでPortlaoise(友達に住む街)へ向かった。
途中Dublinの街中を通った時にちょうど信号でBook storeの前に止まった。

ショーウインドーはいかにも
ケルトの国らしいディスプレーが
施されていた。

友達の家に夜の9時ごろ着いたら、
「今日は強風でフェリーがキャンセルだったのよ。
今日じゃなくてよかったわね。」
昨日の穏やかな海が嘘のようだ。
昨日来ていてよかった。

帰りのフェリーも実は午前の2便はキャンセルになっていた。
私の予約した午後のフェリーは無事に出た。
冬のIrish Seaはたびたび荒れて、フェリーが止まることも
少なくないとのこと。
知らなかった。




コメント
すごいレタリングアーティストをご紹介いただき、ありがとうございます。彼のウェブサイトも拝見してタメイキ。。。独創的で繊細。ちょうどMartin Jackson氏の細身ビルトアップを習って時間がかかる作業であることを実感したばかり。コツコツと時間をかけて作っていらっしゃるんでしょうね。デニスより2歳若いならまだ38〜9歳のパラサイト仙人(勝手に名付けました)はどんな方でしたか? あの赤いGCのハンコ(デニスもハンコ好き)は、かなり大きそうですね。
  • Chi-Hi
  • 2010/11/26 3:04 PM
Chi-Hiさんコメントありがとうございます。
パラサイト仙人とはすばらしいネーミング。ぴったりと言う感じです。
ハンコは実は手描きです。彼はこのハンコが気に入っているそうです。
もちろんデザイン的に考えて、のことです。
どんな感じの人か・・・・。
もしどうしてもご覧になりたいのでしたら、
直接メールください。
画像をお送りいたします。
ここで公開するのは気がひけたので。
  • sakura torako
  • 2010/11/27 7:18 AM
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