はじめてのお仕事

 そのメールは突然来た。
「風邪で声がでないから、明日のクラスを代わってもらえないかしら。」
The Instituteでお世話になっているCherrellからだった。
彼女は月曜の午後と夜のクラスでカリグラフィーを教えている。
私は普段夜のクラスに参加している。

以前、Cherrellからこんなことを聞かれたことがある。
「もし私がどうしてもクラスに来れないようなことがあったら
その時は私に代わってクラスを教えてもらえる?」
突然の申し出に、
「私でお役に立てるのなら、喜んで。」
と思ってもいないような言葉が口から出てしまった。
微妙な言い回しが英語だとできなくて、
シンプルに言ってしまうと
ニュアンスがうまく伝えられないことがある。

その時が来てしまった。
そして、急だったので生徒は何も知らない。
「今日はCherrellが風邪でお休みなので、私が代わりです。」
次々に教室に入ってくる生徒に説明した。
午後のクラスには初めて会う人もたくさんいた。
初心者と中級者とその日初めて来たという女性も。
できるだけCherrellと同じような字になるよう
お手本を見ながら書いた。
イギリス式は微妙に違う。

それでも段々慣れてくると
普段教えている感じと同じであまり抵抗がなくなってきた。
カリグラフィーを教えることに関しては
テクニカル・タームは日本語でも全く同じだ。
気が付いたらいつもやっていたような感じで
久しぶりの感覚に懐かしさすら覚えていた。

せっかくなので、自分の作品を持って行って
みなさんに見てもらったり、
日本の書道の姿勢の話しなどをして
なんとか2時間半を過ごした。

それまでは教えてもらう立場でしか
その場所に行っていなかったけれど、
教える立場で行くと、全くものの見方が違った。
まず、tea breakの時のミルクがないのに気が付いた。
いつも誰かが用意してくれていたのだが、
その日は古いミルクしかなかった。
仕方なく自分で買ってきて補充。
紅茶やビスケットを確認し、
机や椅子の確保をし、
これまで気が付かなかったいろいろな影の
苦労が見えてきた。

夜のクラスが終わったのは9時半過ぎ。
終わった時は私まで声が枯れていた。
習うのと、教えるのとでは、
しゃべる量が圧倒的に違う。
そして、しゃべる内容も普段友達としゃべるのとは
全く次元が違う内容なのだと気がついた。
教えるって、自分にとってもすごく勉強になる・・・・
改めて気付かされた。




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