Autumn at rural villege 銀河荘の秋

 真夏の暑さはやっと去り、
いつの間にか秋に。
今年はいつまでも暖かいから助かります。
Autumn has come!  It's been very warm this year.
The temperature is around 25 centigrade.

近所の農家さんが作っているそば畑。
9月下旬に種まきをします。
刈りとりは11月ごろ。
1週間くらいでしょうか。
10センチ〜15センチくらい。
Soba or buck wheat field in neighbor hood.

山の方にある畑なので
イノシシもよく出ます。

The wild boars appear often because
it is near the mountain.








稲刈りはほとんど済みましたが
まだところどころ残っている田んぼも。
この時で10月中旬。10月いっぱいには
どこの田んぼも刈りとりは終わっていました。
One of the last rice field waiting for reaping.


里山の巨大な金木犀の木。
すごい迫力で、遠くまでオレンジ色の
花の香りが漂っていました。
9月下旬ごろの写真です。
There is a huge tree of a fragrant
orange-coloured olive in the neighbor
woods.  We enjoy the smell of sweet flowers.

寅子の散歩コースのひとつ。
お稲荷さん。
いつもここに寄ったら、一緒にお参りします。
寅子はお稲荷さんと姿形が良く似ていると
思うのですが。

The Inari shrine on the way of walking
with my dog Torako.

ほら、大きさもほとんど同じ。

The two foxes are the symbol
of the Inari shrine and I think
Torako looks like these foxes.
Look at the big ears!

裏庭の柿の木。
薪小屋の屋根に実がひっかかっています。
kaki or sharon fruit tree on the back yard
of Gingaso.
The hut is for the firewood to keep.

今年の柿はちょっと少なめ。
でも十分楽しめました。
We enjoyed eating sweet Kaki.
Although we had less than usual,
they were enough for us.
 

畑に秋冬野菜の苗を植えて。
これは水菜。
元気に大きくなってほしいです。
I seeded some winter vegetables
in the back garden.
Mizuna is one of my favorite vegetables.

大根の芽がやっと出ました。
肥料はなにもやらないので
なかなか芽がでず、1週間以上
かかりました。
The white radish took more than one week
to sprout up because I didn't give them
chemical fertilizer.


玄関に秋の花と実をディスプレー。
彼岸花も裏庭にたくさん咲いています。
I displayed some Kaki fruits and Higanbana
or cluster amaryllis at the entrance.

あけびをいただいたので、
少しの間飾って楽しむ。
すぐにおいしくいただきました。
My friend gave me Akebia the rare fruit of vine
only found in the forest.
I enjoyed looking for a while before eating.




Return to Japan ただいま銀河荘

ただいま、銀河荘
It is so nice to come back to
Gingaso, my old sweet home!
 
8月末に銀河荘に引っ越しを済ませ、
2年前と同じ田舎暮らしをふたたび始めた。
ロンドンで2年過ごした後に、果たしてまた
あの田舎暮らしにすんなり戻れるだろうか、と
思っていたのだが、取り越し苦労だった。
1週間も経つと、まるでロンドンで生活していたのが
遠い昔のことのような、
不思議な感じさえする。
やはり、こちらの生活の方が私の本当の姿なのだと
改めて認識。

おいしい井戸水を飲み、その水の薪風呂に入れる幸せといったら
お金には換算できない贅沢だと思う。
飲み水は買うものという常識が辛く、
湯船に肩までつかって温まる風呂を夢見ていた
ロンドン生活ももう終わったんだ!
という喜びをひしひしと感じている。

とはいっても、田舎暮らしは仕事も多い。
とりあえず、森のように生い茂った銀河荘の周りの草木を
なんとかしなくちゃ。
と、ここは思い切ってシルバー人材センターの助けを借りることにした。

The trees around Gingaso were
grown too much like a jungle! 
so I decided to ask the professional
gardeners to cut them.

before
  作業途中
植木の剪定は
6人が1日がかりでしてくれた。

There were six gardeners came
and took them whole day to cut and
clean the garden.                     






















after

大量の木の枝が運びだされた。
お陰で銀河荘の周りはすっきり!
明るくなって、風通しもよくなった!
Surprisingly so much branches and
plants are cut and brought them
out from Gingaso's garden.












before

 









before


after

今回最初に草刈りをしてもらい、
後日植木の剪定に来てもらった。
合計2日、全部で8人のプロに
お世話になった。

草刈りの作業をしてくれたのは
近所の70代のおじさん2人。
とっても元気だった。


銀河荘の裏庭もすっきり

Now Gingaso has enough light
and the wind go through the
garden.   Feels so good!

草を刈って2日も経たないのに
彼岸花がすっと伸びて来て
赤い花を咲かせていた。

Higanbana or lycoris radiata is
a typical flower in this time of the year.
You can see red, yellow and white flowers
in the country side. Red is common.
There are some in the back yard of Gingaso.


すっかり土間犬になっている寅子。

Torako is now living inside Gingaso
but only on the earthen floor.

周りの田んぼは収穫の時期を迎えていた。

The rice fields are in harvest time.

私の好きな場所は2年経っても残っていた。
あぜ道を埋める彼岸花の群生。

近所の知り合いが作っている
そば畑。
刈り取り作業を手伝って
地元産のおいしいそばをたべるのが
とってもたのしみ!

Soba or buckwheat is growing
by my neighbor.

そばは農薬も肥料もいらない栄養豊かな
雑穀の一種。
このくらいの時にもやしとして
食べてもおいしい。

I am looking forward to eating soba noodle
when I help them to reap them in November.

とにかく、この1カ月足らずというもの
しまいこんでいたクワや斧や大工道具を
探したり、カビ臭くなった布団を干したり、
家の中を大掃除して過ごした。
毎日汗を大量にかいて、薪風呂で
汗を流して、夜9時には真っ暗になるので
就寝して、あさ夜明けとともに起きる。
陽が高くならないうちに作業をしないと
暑くて大変。
そんな生活をしている。

I have been working hard to clean the house and
look after the garden, looking for all the tools such as
an ax and a hatchet, a hoe in the garage.
Taking a bath after dripping sweat by weeding the garden
feel like a heaven for me!
The water from the well is so soft and good.
The fresh vegetables I can get from the local farmers
taste so good.
At the end of the day, I go to bed at 9 pm because it is
so dark then get up at 5 or 6 around dawn.














Gower streetのホテル

 8月11日からここBritish Museum近くのRidgemont Hotelに
滞在している。
ここはGower streetに面する、ホテルが立ち並ぶエリアで
夜遅くまで車の通りが多いロンドンのど真ん中だ。

ホテル近くのラッセルスクエア。
散歩していたら、コーヒーショップがクレーンで
持ちあげられようとしていた・・・・
しばらく様子を見ていると、
クレーンが少しずつ小さなコーヒーショップ
の小屋を地面から離し、移動させ始めた。
車が通る道でもあるので、その間
しばらく通行止め。
10分弱の間、バスや車は通せんぼされ
じっと待っていた。
反対側の歩道の上まで来て移動が止まった。



住んでいたNorth Finchleyはロンドンの北のボーダーに近く、
すぐ近くには牧場があり、緑が多いエリアだったので
とても静かだった。

最近まであざやかな色で咲いていた
フラットの庭のアジサイ

だから、車の騒音のするところでは落ち着かない。
特にここ数日ロンドンにしては暑いので
(と言っても20度から27度くらいだが)
夜が寝苦しい。
こちらの家は窓を大きく開けられるようにデザインされていないため、
風通しもよくない。
縦のスライド式の窓が20センチ程度上がるくらいだ。
住んでいたフラットも風通しはよくなかった。
窓は北側と南側の2方についていたけれど
部屋の作りが風が通ることを計算されていない。
寒いイギリスの家は断熱優先なのだろう。

いよいよ2年間のイギリス滞在も明日まで。
12日にフラットのinventory checkがあった。
大家代理のSueとKenが来て、ひと部屋ずつチェックしていく。
すべて見終わり、OKがでた。
Sueが言った。「2年間は本当に早かったわね。」
しかし、私自身この2年間で出会った人々や
参加したWSとミーティングの数や
訪れた場所などを考えると、
とても2年間で行ったとは信じられないくらいのたくさんの
思い出でいっぱいなのだ。
10年分くらいかもしれない・・・・・・

バスの窓から見えた
面白い文字の看板。
最初は「太」という漢字かと思った
Aの文字。黒で書かれたロゴはなんだろう?
Aだろうか。筆文字の筆跡だが
なんだかよくわからない。
NOVOASIAとは一瞬読めなかった。

こんなに目いっぱい行動できたのも、
今にして思えば2年限定だったからだろう。
そして、私の容量限度ぎりぎりまで来ているもの事実だ。
これ以上インプットしても入りきれない。
あとはどうアウトプットしていくかだ。

1週間くらい前からロンドン周辺といくつかの都市で
Riotsが起こった。
きっと日本からこのニュースを見ていたら
「イギリスって暴力的な若者が多い、怖いところだなぁ」
などど思っていただろう。
事実、ギャングと呼ばれる13歳〜18歳くらいの
10代の若者がナイフを持ち、凶暴なブルテリアを連れて
個人商店を狙って万引きしたり、
店主を刺し殺したり、
同じくらいの若者と喧嘩してナイフで刺したり
という話をよく聞く。
うちの近所でも見かける若者はみんなフード付きのジャケットを
着ているので、ギャングに見えてしまう。
フードは強盗など悪いことをする時に
かぶるとCCTVに顔などが写らないのだ。

フラット近くのFish & Chips屋さん
に掛かっていた値段表。
ここはどちらかというと高級な方かも。
フィッシュが1つで1000円ほど。
チップスも付けると結構ボリュームがあり、
1人では食べ切れない。

しかし、今はちょっと違う見方をしている。
この暴動は起こるべくして起こったと思う。
やはり貧富の格差が大きいのだ。
EU圏が拡大するに従い、東欧諸国からの移民が増え、
東欧経由で入ってくるアラブ諸国の人々も少なくない。
アフリカや中米出身者も多く見かける。
理由はそれだけではなく、もっと複雑なのだろうけれど、
日ごろからの不公平感が爆発したのだろう、ということは
容易に想像できるのだ。
たった2年の間に、ものすごい勢いで物価が上昇していくのを
経験した。
いくら福祉が行き届いているとはいえ、
これでは追いつかないだろう。
公共交通機関もどんどん値上がりし、
ガソリンも日本よりずっと高い。
(今1リットル1,38ポンド[約175円]くらいだろうか)
家賃もすごい勢いで上昇している。
生活は苦しくなるばかりだ(と思うのだが)。

そういうわけで、ロンドンを離れることに
ちょっとほっとしているというのも正直な気持ちだ。
こっちで収入がない私にとって、この物価上昇の著しい都会で
暮らすことがどれだけ精神衛生上良くなかったことか。

いいことも、悪いことも、いろいろたくさんの学びを
させてくれたイギリスに感謝したい。
どうもありがとう!

バスの座席の横に掛かっていた
注意書き。
"Priority seats
Please give up these seats
for disabled people"
「優先席 身体が不自由な人のために
これらの席をあきらめてください。」






さようならNLLA

 月に1回の割合で行われている
NLLA meetingに参加した。
その日は夏休み前のPartyで、
料理やお菓子、飲み物を持ち寄ることになっていた。
私は最後のお別れをどうしても言いたかったので
ちょっと遅れながらも駆けつける。
日本から送ってもらったようかんを持参した。

持ち寄ったごちそうが並んだテーブル
羊羹は小さく切ると、興味深気に
見守っていた人たちがあっと言うまに
手を出してなくなってしまった。






「あっと言う間の2年間でしたが、このNLLAに参加させてもらい、
素敵なカリグラファーにたくさん出会えてとても楽しかったです。」
私がお別れのあいさつをすると
たくさんの人たちが近寄ってきていろいろと話しかけてくれた。
「日本に帰ってもカリグラフィーをがんばってね。こちらに来たら
是非顔を出して頂戴ね。」
などと口ぐちにやさしい言葉をかけてくれる。

作品展にも来てくれたYas。
いつも親しく話しかけてくれた。

NLLAのメンバーでlettercarverのSimonの
作品。持ってきて展示してくれていた。


Christine Langley
メンバーの中ではかなり若手。

RosieはInstituteでもクラスが同じだった。
経験も実力もあるのだが、教えたりはしていない。
そのうちATSに参加することを考えている。

中にはカリグラフィーを1950年からしている、という女性も。
その頃のArt schoolではカリグラフィーやブックバインディングを
普通に学べたのだ。
今その2つをきちんと学べるカリキュラムのある学校はほとんどない。
ちなみにその女性は19歳の時から始めたそうなので、
現在80歳ということになる!
とってもお元気そうに見えた。

Mark Woodall
彼は駅からCUFOSまで送ってくれたり、
帰りもわざわざFlatの近くまで送ってくれたことも。
この日も送ってくれた。
Goldのminiの愛車でロンドンの街中を飛ばす、
ドライブ大好きな陽気なおじさん。
訛りが強くて時々なんて言っているか分からなくて
困ったけれど、親切なジェントルマンだ。


この日はみんなでNLLAのバナーを作った。

イギリスのカリグラフィー事情を知るうえで
この人たちとのお付き合いは欠かせなかった。
地元のカリグラファーとの交流は、インターナショナルな
WSに参加するのとはひと味もふた味も違った経験となった。
いつもやさしい眼差しで見守ってくれた大先輩のカリグラファーたち。
本当にお世話になりました。
どうもありがとう。





wimbledonの季節

 この前のカリグラフィークラスの日は
人がとっても少なかった。
Cherrellは「今日は午後のクラスも少なかったわ。」
とため息。
その日イギリスは今年の最高気温を記録。
日中は30度を超すこの国にしては異常な暑さだった。
「きっと暑いからお休みが多いのね。」
と言うと、
「ウィンブルドンだからよ。フレンチ・オープンもオーストラリア・オープンも
興味を示さないのに、ウィンブルドンだけは違うの。
イギリス人はこの季節になると、急にみんなテニス好きになるわ。
みんないつもより張り切ってテニスをするのよ。」
そういえばイギリスNo.1のAndy Wurrayが順調に勝ち上がっている。
今日はセミファイナル。
去年の宿敵スペインのRafael Nadalとセンターコートで試合だ。
カリグラフィークラスのみんなに
「ウィンブルドンに行ったことある人!」
と聞くと、みんな手を挙げた。
「私はセンターコートで見たことがあるわよ。
飛んできたボールが額に当たったの。たいして痛くなかったけど。」
とCherrell。

今朝8時ごろラジオのニュースで、早朝から当日券目当てに
並んでいる若い女性たちをインタビューしていた。
「昨夜急いでバスで駆けつけたわ。Wurrayが勝ったら
もちろん明日も来るわ!」

テニス部だった私は一度はウィンブルドンに行ってみたいと
思っていたけれど、今年もかないそうにない。
インターネット中継でがまんしよう。


Conservation tour2

 2週間前に参加したBritish LibraryのConservation tourに味をしめて
今回2回目のツアーに参加。内容はこの前と違って
比較的一般的な本の修復作業の見学だ。
とはいっても、古い本やドキュメントなどさまざま。
場所も別棟の修復作業専用の建物の中。
最上階(3階)は天窓からの自然光でとても明るく、
体育館の半分ほどもあるような広い部屋で
数人のconservatorたちがきちんと片付いた机の上で
それぞれの作業をしていた。

今回のツアーには10名が参加。
お年寄りが結構多い。
案内人のMartynは前回とは違う人だ。
Francesは前回も案内してくれた。
どちらもconservatorとしてここで働いている。

まず作業部屋の見学の前に廊下にディスプレーしてある
finishing用のこてのコレクションを見学。
さまざまな縁飾りやアルファベット、
とても大きな模様やカリグラムなど
gold leafで革に押したサンプルと共に
壁際のガラスケースに並べてあった。
「これらはすべてBritish libraryで代々使われてきたものなんだ。」
とMartyn。彼の興味深い話は続く。
「ところで、タイタニック号にはとてもゴージャスな
写本が一緒に乗っていたんだ。NYのライブラリーに
運ばれる途中だったんだ。今は海の底に眠っているけど。
僕はそのコピーを見たことあるけれど
宝石がたくさん散りばめられてとても美しい写本だった。」
調べてみるとどうもその写本は
Omar Khayyamという11世紀ペルシャの天文学者で詩人による
詩集「Rubayyat」らしい。
そういえば、最近もBritish Libraryでこの本のコレクションが
いろいろ展示されているのを見た。
かなり有名な本のようだ。(私が知らないだけかも)

いよいよ作業部屋に入る。
最初に見学させてもらったのは
まだ40代くらいの男性のconservatorの作業台。
彼は20世紀初期のスクラップブックを
修復していた。
個人が収拾したと思われるさまざまなpoliticalなちらしや
集会などの資料が大き目のスクラップブックに
貼り付けてあるが、かなりボロボロな状態だ。
この当時の紙は中性紙ではないので酸化して
劣化が著しい。
ページもはずれて、汚れも目立つ。
これをすべてはがして、1枚1枚真水で洗浄し
ボロボロな紙は薄い和紙ではさんで丈夫にして
手で扱えるようにする。
このクリーニング作業、200時間もかかるそうだ。
気の遠くなるような作業を1人でこなす。
ちなみに彼は4年間ここで見習い生として働いて
正式に職人となった。
今ではこの見習い制度、なくなってしまったという。
だから、大学で修復を学んだ学生が見習いなしで
職人になるわけだが、直接先輩の職人から
技術を学べる見習い制度があったほうがいいと、
彼は言っていた。
もちろん、大学でも修復の実技は学ぶらしいのだが。

次に訪れた机の上では、女性のconservatorが
ユダヤ教の聖書の巻物を修復中。
1470年のもので、上と下の両側から読めるように
挿絵と文字が書かれているユニークなものだ。
参加者からの質問。
「文字が消えていたら上から書いたりしますか?」
Conservator「いいえ、私たちはあくまで本の汚れを取ったり、
強度を持たせたり、破れているところを修復する作業はしますが、
できるだけここに持ちこまれた状態を優先します。ですから、文字が
消えかかっていても書いたりすることはありません。」

そういえば、前回のツアーで見た本の中に、ブリキのようなスチール製の本があって、
ページがぼこぼこになっていたが、それをハンマーでたたいて
まっすぐにすることはしない、と言っていた。

次に移動した部屋は、窓際のひときわ明るい部屋で、
女性のconservatorが"Telescope of View and the thames"(19世紀)
といういわゆるトンネルブックを修復していた。
じゃばら部分がシルクでできており、とてもフラジャイルな感じ。
本を入れるボックスがかなり傷んでいた。
そのため、本体とボックスは別々に分けて収納できるような
容器を制作していた。ボックスが潰れないように支える中身
(発砲スチロールのような)を入れ、本も平たく収納する。
古くて壊れやすい本はたびたび平置き収納にするようだ。

1980年代の日記はセロテープでぼろぼろになった
背(spine)の修復がされており、それをまずはがさなければならない。
水性インクが使われているので、水で洗浄することができず、
この本はspine bindingのみが施されていた。

15世紀のlatinのMS(写本)は中の頁がかなり切り取られたりしていた。
ほとんど根元を残して切り取られたページもあり、
(昔は図書館のMSは簡単に閲覧できたので、美しいページは
このような被害によく会っている。)
その切り取った下の頁も切れてダメージを受けていた。
切られたページはどのようにくっつけるかと言うと
小さく切った(5mmx2mmくらい)和紙をピンセットで
行間に貼りこんで目立たないように切られたページを
つないでいく。
文字に重ならないように行間に貼って行く作業は
本当に細かい。糊はpaste。
扱いは素手で。手袋はかえって本を痛めてしまう。
修復作業は時に科学的な知識が必要なこともある。
素材などどのように扱っていいかわからなくなったりしたら、
サイエンティストの意見を参考にするという。
ちなみに、切り取られたページはそれ以上修復しない。
そのままの状態で保存するそうだ。

最後に訪れたのはFinishing studio。
いわゆる金箔でタイトルなどを背表紙や表紙に刻む作業だ。
この作業はここBritish Libraryのconservator50人の中でも
わずか2−3人しかできないそう。
様々なタイプフェイスが入った引き出しがついた棚がいくつもあり、
様々な書体とすべてのサイズがそろっている。
ここでは修復というよりは、新たに表紙を付けられた本たちに
タイトルを入れる作業をしている。
まず、書体選び、下書き、スペルチェック、スペーシングチェックをして、
紙に試し押し。それから、実際に押す革の状態によって
glain(革のしわ)が大きい革はスムーズにするため
熱いこてをあてて平にする。
金箔をコットンで持ちあげ(彼は額の油をコットンにつけていた)
革にのせる。
糸をピンと張って、水平ラインの印を付け、
あらかじめ組んでおいたタイプフェイスの中心から端までの
距離をディバイダーで測り、
金箔の上に印をつけ、
熱した組版を金箔の上から3秒くらい押す。
その後コットンで余分な金箔をふき取る。

熱した組版の温度調整がすごく難しそうだった。
なんどもこての先につばをつけた指をあてて、
ジュッと蒸発する感じで、こての温度を測りながら
「うーん、まだ熱すぎる」
といいながら濡れた布に当てて冷ましていた。
本当に職人技は身体で覚えるしかないのだ。

ツアー時間の1時間を大幅に過ぎ、あっという間に1時間半が
経過していた。
今回のツアーには質問をやたらする人が多く、
ちょっとまどろっこしい場面もあったが
(写本を初めてみたような人もいるので)
1度のツアーではこのくらい見るのが精いっぱいだろう。
やはり何度も通ったほうがいいようだ。

次回この国に来る機会があればまた是非参加したいと思った。
明るくて素敵なカフェにも入ってみたいし。










summer solstice-夏至


 このところロンドンは日が長くなってきて、
夕食の時間でも全く明かりをつける必要がない。
もっとも、こっちの人は夜薄暗くても
キャンドルの灯りだけで、かすかに手元が見える状態で
食事をすることが多い。
Ann Hechleの家でも、食事をする時は
必ずキャンドルに火を点けて、
外がだんだん夕闇に沈んでいくのと同時に
手元の食器がうす暗い部屋の中にまぎれていくのを
実感しながら食事をしたものだった。

それが、この頃は夏至に近づいているので
ついこの前までは8時半まで明るいと思っていたのが、
今日は10時過ぎてもまだ空はちょっと明るい。
お天気がよかったのでいつもよりも暗くなるのが
遅いのだろう。
9時半でもキャンドルの灯りで十分に手元が見えるし、
10時になっても電灯を点ける必要はない。

食事の時はちょっとうす暗い方が、なんだかゆったりとした気分で
食事ができるような気がする。
こちらのレストランは、高級そうなところほど、
店内がやたらに暗い。外からみると、開店しているのか
閉店しているのかちょっとわからないくらいに
照明を落としている。
でもよく見るとお客でいっぱいなのだ。

イギリスの夏至は6月21日。
日本よりも1日早い。時差の関係だろうか。
きっと夜10時半ごろまで明るいだろう。
私個人的には、1年を通して
昼と夜の時間の差があまりない方が
生活しやすいと思う。
冬は極端に短く、夏は長くて夜更かししやすいというのは、
慣れないせいかもしれないけれど、
生活のリズムを保ちにくい。
Annのように頑強な精神をもっていれば別だろうけど。

数日前の雨上がりの
ロンドンの空
(Brent Crossにて)
雲の形がマーブル模様のようだ

夕食をキャンドルの灯りだけで食べるのには
ロマンチックなのと電気の節約の他に
実は現実的な理由もある。
それは、蛾が入ってくること。
こっちの窓には網戸がついていないので
夜あかあかと明かりを点けていると
開けた窓から蛾が入ってくる。
蚊はいないのだが、
この蛾、衣服の大敵なのだ。
だから、ときどきこの蛾が大発生したと言って
みんなモスノーのような防虫剤やら
スプレーやらを買って退治している。
私はその手の科学物質に敏感な方なので
虫が嫌う香りの"CITRONELLA"のPure essential oil
を薄めて、窓のカーテンやらにスプレーしている。
それでもたまに蛾が箪笥の服に止まっていたりするのだ。
あーこわい、こわい。


Conservation tour

以前から行きたいと思っていたBritish Libraryの
Conservation tour(修復作業見学)に
やっと参加することができた。
去年の夏思い立って調べたら、8月9月はツアーがなくて、
そのままになっていたのだ。
もうすぐ帰国なので、早いところ行っておきたい場所に
行かないと、行けずじまいになってしまう、と空いている日に
どんどん予定を入れている。

そのツアーは月に2回、第1と第3木曜日の14時から
定員8名と12名で無料で行われている。
今日も定員の8名が集まっていた。
人気のあるツアーらしい。

入口のインフォメーションデスクの前で集合。
ツアーのコーディネーターのRobertがちょっとなまりのある英語で
説明をはじめる。彼自身も修復の作業に携わる。彼のもとでは6名の
職人が働いているという。

メインビルディングの裏に新しく建った
Conservation Centre。
その前にはカフェのテーブルといすが
たくさん並んでいて、
多くの人が初夏の陽ざしの中で
くつろいでいた。
街中にしては、広くてゆっくりとできる
いい場所だ。


今日のツアーはメインビルディングの最上階(6階)
の修復作業室を見学。このビルディングでは
なかったが、終わった後にRobertが
案内してくれた。

ツアーはノートと鉛筆の持ち込みのみ。
カメラやバッグはロッカーに預ける。
20代の若いカップルから、
70代くらいのお年寄りまでいろいろな
人が来ていた。
みんなとても熱心で質問や自分の経験話
(1人ボランティアで修復作業に
かかわったことがあるというご婦人がいた)
をよくするので、時間がかかって、終わったのは
3時40分くらいだった。(1時間程度の予定が)

BLCC(Blitish Library Conservation Centre)
の入り口の部屋では、修復作業の過程がわかりやすく
解説してある。
実際の道具や工程のビデオ、音声もついている。
 


修復が必要な本のサンプル。

革を薄くする作業に使う道具。
Gold finishingの道具も。
金箔の上から模様や文字の型の
熱した金属を当てて模様をつける。

Finishingの作業に使われる道具と材料。

展示台の下の引き出しには
各工程で使う道具と材料を
わかりやすくまとめて説明が
書かれている。
これは紙の修復用道具。
ちなみに、紙の修復専門の
職人も作業チームの中に何人もいる。

ソーイングマテリアル。
カーブした針もある。

表面の汚れを取る技術。

背の修復や貼り替え作業。


本によっては、バインディングし直す
場合もある。

古いバインディングの技術。
麻の紐に絡めながら、綴じていく。

ヘッドバンド(花切れ)も糸で巻きながら作る。
修復作業では出来合いのものなど使わない。

Finishingの工程。


この部屋の奥にさまざまな修復作業の
様子がビデオで流れている。
これはパピルスの修復の様子。

ピンセットを使って、Japanese paper
を細かく切ったものをペーストで貼っていく。

パピルスは縦と横に繊維が貼り合わせてあるので
その繊維の向きに沿って、細く切った和紙(2mm×7mmくらい)を貼り、薄くなったところや
切れている場所に橋渡しするような感じで
補強していく。


和紙の繊維は長くて強いという説明があった。
世界中の修復作業を支えているのが
日本の手すき和紙なのだ。
なのに、日本では手すき和紙職人が、
どんどん減っていっている。




これはマップの修復。
上にMelenexという透明フィルムを載せて
形を取っている。

このMelenexというフィルム、修復では
よく使われているようだ。
手で直接触ることに耐えられないような
古かったり、貴重な本は、修復作業の後、
このフィルムで覆って手や空気に直接触れない
ようにしてしまう。

和紙を貼っているところ。

絵具が粉状になって剥がれ落ちそうに
なっている場合は「ふのり」を
スプレーで表面にかけて
絵具を定着させたりもする。
「ふのり」は昔洗髪に使われていたのは
知っていたけど。
ここでも日本の修復技術が活躍。

修復作業室は、整然と片づけられていて、
白衣を着た女性が、まるで科学の実験のように
作業をしていた。
ひとつひとつの工程を確実に、正確に処理する
必要があるのだから、整理整頓は当然だろう。
見習わなくっちゃ。


今回は一般的な本の修復ではなく、巨大なマップや、インドのFalk Art、
縦横1m×1,5mくらいの巨大な絵画を綴じた本とか、どちらかというと
Artの要素の強いものの修復を見学した。
案内のRobertの言葉を借りて言うと、こういうものを
"Sexy Conservation"と言うそうだ。
彼は一般的な本の修復に携わっているので、
こういう"sexy"なものの方が
見ていてとっても楽しい、と言っていた。
「どんなに珍しい中世のMSでも、毎日見ていると
飽きてしまうんだよ。」

修復作業というのは、必ずしも新品同様にするというものではなく、
どこまで手を入れて、どこまでそのままの状態を残すか、というのが
作業員の判断のしどころだ。
今回メタルでできた本の修復も見せてもらった。
スズでめっきしたスチール製の頁が綴じてある本だった。
スチールの頁がところどころ曲がっていたが、
あえて彼女は叩いてまっすぐにのばさないことにした。
「なぜなら、この状態で持って来られたのだし、多少曲がっていても
鑑賞する妨げにはならないと判断したから」と言う。
1ページずつ、Melenexの袋で覆い、壊れていたスパインを修理し、
おおきなタッパーウェアに緩衝材を入れてベッドを作り
乾燥材と湿度計を入れて、その中に保存する。
できるだけ、一般の市場にある道具を使うという。
でないと、修復作業専門の材料や道具はとても高いから。
「酸化度などいろいろなテストをして大丈夫でしたから。
口に入れるものを入れる容器として安全なら、本なら大丈夫でしょう。」
と笑って言っていた。

このConservation tourは毎月2回開催されていて、
インターネットのサイトから申し込みができる。
内容はその時によって違うので何回見ても飽きないと思う。
ちなみに私は一般的な本の修復作業も見たかったので
第3木曜のツアーを帰りに申し込んだ。
幸い、まだ空きがあった。

ツアーの後、私1人だけなのに、展示室の説明を一通りして
聞いてもいないのに、使い方まで詳しく教えてくれたRobert。
彼の修復作業室も是非見たいと話すと、
"I hope to see you again soon!"と手を振って
上の修復作業室へと戻って行った。





不思議な枝

 先日、時々行っているイラニアンのお店に、
ごまペーストのTahini(Tahin, Tahinaなどいろいろな表記がある)
とトマトペーストを買いにいった。
マツバラよりもここの方がこういうものは安い。
レジで支払いを済ましていると、
プラスチックの丸い容器に、
木の枝のようなものが20本くらい無造作に入っていた。

「これはなんですか?」とレジのお兄さんに尋ねた。
「歯を磨くものだよ。」
「木の枝ですよね?どこの国で使われているのですか?」
「知らない、僕は使ったことないから。」
すると店に買い物に来ていたアフリカンの女性が親切に答えてくれた。
「アフリカの数カ国で使われているわよ。
私が子供のころは使っていたわ。」
「木の名前はなんというのですか?」と今度はその女性に聞くと、
「名前は知らないわ。枝を噛んで歯を磨くの。そして
あとは吐き出すのよ。」
以前枝で歯を磨く話を聞いたことはあったが、
実際にその枝を見るのは初めて。
もちろん購入した。
その枝はチャリティー用に販売されていたので
1本1ポンド。
調べたら、どうやら木の名前は
MiswakまたはMisvakというらしい。
アラブ、アフリカ、インドなど
いろいろな地域で木の枝を
歯磨きに使っているようだ。
沖縄ではニームという木が使われているという。



25cmほどの長さで小指くらいの太さの枝がよいとされ、
先端1cmをかみ砕いて、ブラシのようになったところで
歯や歯茎を磨く。
口臭予防や、殺菌効果で虫歯予防にもいいらしい。
これを使うアフリカやアラブの人は歯が白くて、歯茎も引き締まっているとか。
地球と人にやさしい道具をまたひとつ見つけてしまった!
日本でもこれ手に入らないかなぁ。
ちなみに味はちょっと最初苦みがあるが、
木の皮をむくとほとんど苦みはない。
気のせいか、歯が白くなったような・・・・。
歯の表面はつるつるになります。








インドのカリグラフィー1

 Devanagariという書体名を聞いたのは
それが初めてだった。
インドのカリグラフィーのWSがある、と言う話だけで
気軽に申し込んでいた。
友達のManishaは誘っておきながら、
ドイツへ引っ越してしまったために
来られなくなってしまった。
そして、前日にあわててWS会場となる
"The Bhavan Centre"を調べる。
そこはインドの文化や芸術を体験したり学んだりする
ロンドンのインド文化センターのようなところだった。

インド人のManishaが今年の初めにこの話を持ってきて、
とっても強く誘うので、まぁそれもいい体験かも、
と思って6回分すべて申し込んだ。
そしたら、彼女は急に夫の仕事の関係で
ドイツへ3月に引っ越してしまった!
そして、当日、2時間近くかけてバスを乗り継ぎ、
行ったことのないロンドンのWest Kensingtonエリアに到着。

中はインドの香りがぷんぷん漂うまさにインド文化の
発信地という感じだった。
中にいる人もほぼ100パーセントインド人だ。
インドの踊りのレッスンがちょうど行われていた。
とても面白い足の動きと手の形、かなりハードな踊りだ。

そしてそこでは、今回のWSの講師のAchut Palavの作品展も
2階のギャラリーで開かれていた。

広くて明るい素敵なギャラリーだ。

今回はAchutと一緒に
Sunita Khedekarという若い女性の
アーティストのアクリル画も一緒に
展示してあった。
すべてガネーシャの絵だ。


Achutの作品はすべて白と黒で
すこし赤と金色も入っていた。
Sunitaは青、緑、赤、オレンジなど
鮮やかな色遣いでモダンなガネーシャを
描いていた。





彼がAchut Palav。
Mumbai(もとボンベイ)で
カリグラフィーの学校を運営しているという。
生徒は子供から大人まで250人ほどいるそうだ。
学校の様子をビデオで見せてくれたが、
すごくパワフルなカリグラフィーだった。
巨大な紙の上にのって、裸足にインクを塗って、
踊りながら紙の上にマークを付けたり、

両手で同時に書いたり(文字かどうかは不明)、
大勢で一斉に同じ紙に書いたりと、まるでインドのボリウッド映画を見ているような
興奮とパワーを感じた。
インド人って、パッション全開!なカリグラフィーを書くんだ!
「文字は美しく書くのではなく、あなたの心や魂を表現するために書くもの。
そうでなければ意味がない。」
とWSののっけからそう断言する辺りはさすが。

しかし、最初は基本が大事。
ペンは45度に傾ける。
しかし、Western calligraphyの45度とは
逆の向きなのだ。

私の他に知り合いのカリグラファー(イギリス人)
が2人来ていた。
あとの10名はインド人。
文字を全く知らない私たちは
読めない文字を書く辛さを味わうことになる。


ギャラリー会場の一角にテーブルを並べて
Devanagariというスクリプトを習った。
専用のペンと専用のGraph paper(方眼紙)
とお手本が渡され、1人1人回ってAchutが
書いて見せてくれた。


デモンストレーションの文字。
Devanagariはヒンディーとサンスクリット
の両方に共通している書体。
文字は一緒だが、サンスクリットは昔の
言葉、ヒンディーは今の言葉。
参加していた他のインド人の中には、
イギリスで生まれ育ったためか、
なんとか少しわかる程度、と言う女性も。

講師のデモ。このようにフローリッシュを
自由に付けることもできる。

Happy Birthdayを書いたら
こんな感じに。
上はペンできっちり、下はポインテッドペンで
自由なハンドライティングで書いたもの。

2時間はあっと言う間に過ぎ、慣れない逆45度で書いたので
右手がひどく疲れた。
あと5回ある。どのくらい書けるようになるのだろうか。




| 1/30PAGES | >>

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< January 2012 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

others

search this site: